東京国際空港 16:50

  
 
 
 
  
雪のない東京から来た乗客は、飛行機が着陸する間際、暗い窓の向こうに白く広がる世界を目にして「雪だ…」と呟く。
  
3日前にまとまった雪が降ったようだが、太平洋側である釧路は昨日今日と晴れが続いている。ネットで釧路地方各地のライブカメラをチェックすると、積雪量はそれほど多くなさそうだ。釧路空港の滑走路はきれいに除雪されいた。
 
 
空港から市街地行き阿寒バスの運転手は女性で、運転しながらマイクでもって車内の乗客に語りかける。なかなか饒舌である。「いまねーバス停の前に止めようと思ったんですけど、雪があるのでちょっと動かしまーす……はいお待たせしました」
 
十字街でバスを降りると、あたり一面に燻製にしたような魚の臭いが充満していた。釧路には何度か来ているが、この臭いは初めてである。
 
バスのトランクを開けるために降りて来た彼女が「うわーくさい!」と声に出して言う。あとでちょっと調べてみると、近くにある水産加工場の臭いらしいが、風向きによるのだろうか。
  
魚の臭いが漂う街角に降りた僕は、硬い雪の上をそろそろと歩いてホテルに向かう。冬の北海道に来たのは2回目になる。