名古屋市交通局鶴舞線塩釜口駅 11:23
神社の境内で久しぶりに両家の家族が顔を揃えて談笑している。なんたって今日はかわいい孫の七五三なのだ。
そこに、こんにちはと言いながら近づくと、ぴたりと会話が止まって視線が僕に集まる。
いや今のそのなごやかな雰囲気を撮りたいんだ僕は。
しかしそれは、撮影が終わるまでもう二度と戻ってこないのである。
仕方がない、女の子と遊ぶか。
三歳の彼女は緊張気味であったけれども、遊ぶうちに少しずつ慣れる。千歳飴を持つ記念写真がちゃんと撮れればもうひと安心である。
ときどき、僕がいないくて家族だけだとどんな七五三になったろうと思う。
もっとのんびりお参りできたんじゃないか。
どうしても写真を撮るために僕が子どもと遊んでしまうのだけれど、おじいちゃんおばあちゃんがスマホで撮る写真で十分なのではないか。
そんなことを考えてしまう。
僕の撮影はアトラクションのようなものだ。楽しかったと思ってくれたらそれでいいのかもしれない。