西武鉄道新宿線本川越駅 12:22
写真は見る人本人が撮影するのが一番いいと思っていて、たとえプロのフォトグラファーに依頼したとしても、お気に入りになるのは親が自分のスマホで撮った我が子の写真になると思う。
そうだから、ここぞという場面では親に、スマホで写真撮ってください、と言う。
数え三歳の男の子と生後一ヶ月の赤ちゃんだけのツーショットは、二人の子どもを寝かせて撮らないといけない。
赤ちゃんは寝るしかできないからいいのだけど、お兄ちゃんは嫌がるだろうなあと思いながら寝かせたら、意外や意外、すんなり赤ちゃんの隣で仰向けに寝てくれてびっくりした。
これは珍しいのである。すかさ仰向けになった子どもの上から写真を撮る。ついでにママに、スマホで撮って、と促す。
ママも着物姿の兄弟の写真を撮れるとは思ってもいなかったのではあるまいか。
「かわいー!」声を上げながらスマホで写真を撮る。
その中に今日のベストショットが収められることだろう。
二歳の男の子はまだ誰かと一緒に遊ぶということができなくて、自分の興味のあることにしか反応しないけれど、そういうものだ。
だんだんと世界が広がって楽しみの種類が増える代わりに、彼自身が感じている世界の色がが少しずつ消えてゆく。そのほうがとてももたいない気がするけど、仕方がない。
子どもが子どもでいられる時間はほんのわずかなのである。だからこそそれが愛おしくてたまらない。
東武鉄道東上線池袋駅 8:43 朝のラッシュを抜けて、空いた下り電車に揺られるとほっとする。
埼玉県川越市脇田町 12:06
本日の撮影終わり。数え三歳男の子の七五三と一ヶ月赤ちゃんのお宮参りを一緒に撮る。
赤ちゃんは寝てるだけだからいいけど、二歳の男の子はイヤイヤ期も相まってすんなり遊んでくれない。まだ二歳だしな……。子どもの二歳と三歳の差はすごく大きい。
川越市脇田町「青龍」のラーメン。 650円なのに、とても丁寧に作られていて感動すら覚える。真っ当な中華そばである。スープおいしい。麺の硬さも申し分ない。店主が几帳面なのだろう。カウンター周りが整然としていて気持ちがいい。「どうもっすー」という店主の声に送られて店を出る。