京浜急行電鉄本線京急久里浜駅 12:51
撮影でいろんな兄弟姉妹に会うけれど、似ていたりいなかったり、性格が同じだったり違ったり、子どもそれぞれ不思議だし面白い。
兄と妹という組み合わせは、なぜか兄のほうが頼りなく「しっかりしてよお兄ちゃん」と妹が発破をかけることが多いように思うのは、「男はつらいよ」のせいかもしれない。
実際はどうだかしらないけれど、そういう傾向はあるんじゃないかなと、七五三に来た兄妹を見て思う。
六歳の男の子は引っ込み思案である。二歳の女の子が兄を押しのけるようにして遊ぶ。
今はまだ兄の威厳を保てているように見えるが、そのうち逆転されそうなほど、女の子のほうが積極的だ。
祈祷が予想以上に長くて、終わって出てきた彼女は飽き飽きしている。
「これおもいからぬぎたい」被布の前ホックを外そうとするのを押し留めて、急いで千歳飴の袋を持たせて記念写真を撮る。
写真撮るよと言ってはいけない。
バイキンマンが来くるからアンパンチしてな、と言う。それだけでぱっと彼女の表情が変わる。面白い子だなあ。小学生になったらクラスの人気者になりそうだ。
神社近くの公園で彼女の写真を撮っていると、お兄ちゃんは一人で黙々と遊んでいる。きっと彼なりの楽しみ方があるんだろう。
いつかまた大きくなった二人に会いたいものである。
今日の七五三撮影は横須賀市の久里浜天神社。「天満宮」だから菅原道真を祀っている。
それはさておき、看板の神社の由緒を読んでいたら、江戸時代初期に大坂から来た男が久里浜周辺を開拓する際に、彼の地元であるところの福島天満宮から分祀してきたらしい。大阪の福島天満宮なら知っている。大阪市福島と横須賀市久里浜には意外なつながりがあったのだ。これは面白い。
神社ではその彼を「義人」としているけれど、現代ふうに言ったら「デベロッパー」でしょ。いわば彼が彼の仕事のために建てた神社がやがて人々に崇敬されてゆくのだから、不思議というかなんというか。
気持ちのいい秋晴れ。暑くもなく寒くもなく絶好の七五三日和である。 祈祷を済ませた家族がそこかしこで写真を撮って、のんびり帰ってゆく。おじいちゃんが慣れない手つきでスマホを構えるのを眺めながら、そういうのでいんだよと思う。出張撮影のフォトグラファーなんていなくていい。