東北本線川口駅 16:30

 
 

 
緋色の着物を着て彼女はふらりと現れる。
  
長身である。ファッションモデルのようにスタイルが良い。
 
学園祭の実行委員をしていると話してくれる。やることが多くてたいへんらしい。
 
 

雨が降り出しそうな空の下で彼女はよく動く。

午前中にスタジオ撮影をしていて、疲れているだろうと思ったら「大丈夫です」と言う。

体力はあるのだ。
 
「空手やってたんで」
 
それはすごい。しかも部活じゃなくて道場に通ってたとは。 
 
週一?「週六」まじか。「毎日4時間やってました」

思わず僕が嘆息する。まさに才色兼備。並の男では彼女の彼氏になれまい。
 
 
 
高校時代は楽しかっただろうと言ったら、「いやー」と返事を濁す。
 
ちょうどコロナと重なった高校生活は自粛ばかりでつまらなかったそうである。
 
それはそれは残念であったろう。なんだか申し訳ない気持ちになる。
 
十代の日々は二度と帰らない。学生時代にこそ青春を楽しんでほしい。

いい大人になるためにはいい青春時代が必要なのだ。
 


埼玉県川口市並木元町 16:12 本日の撮影無事終わり。3件目は成人式前撮り。学祭の実行委員をするくらいだからしっかりしている。スタジオ撮影をこなして来ているのに疲れた様子もないのは、彼女が空手をしているせいだろうか。高校時代は週6日4時間/日で稽古していたと聞いて感嘆するほかない。


東北本線川口駅 16:25 都会はとにかく人が多い。それなのにかつて三越だった駅前の大型ビルはいまだに空いたまま。ヨドバシは池袋狙いだし、ユニクロかドンキが入らなければ、市が買い取って、格安のテナント料で民間に貸し出すしかない。

東北本線赤羽駅 16:25 名古屋まで7時間。 今日はカープの今季最終戦。一岡の引退を勝利で飾れなかったのが非常に残念であった。兎にも角にも打線が弱すぎる。ラジオの実況アナが放送の残り時間を見計らって最後の口上を述べる。きっちり尺に収まるのは、これもプロの仕事である。