鞆鉄道新川線神島橋西詰 11:37
朱塗の鉄骨の上に乗っかる草戸稲荷の社殿は芦田川の向こうからもよく目立つ。
10月も下旬にさしかかるのに、よく晴れて暑いくらいだ。
五歳の男の子は、遊び始めるとすぐに乗ってくる。
男子というのはなぜか棒が好きである。木の枝を持っては無駄に振り回す。おじいちゃんおばあちゃんだと「浴びないからやめなさい」とか「汚れるでしょ」とか言うのだが、わかっている親は何も言わない。
男子というのはそういうものなのである。七五三だからといってその衝動を抑えられるものではない。
撮影のときは、それをうまいこと扇子に持ち替えてやればいいだけだ。
その扇子を動かすなじっとしていて、というのは無理だから、手を振り回す彼を何枚も撮れば、一、二枚くらいはいい感じの位置で手が止まって写ってくれる。
七五三撮影ってそういうものだと思ってるけど、ほかのフォトグラファーは違うのかもしれません。
生まれて二ヶ月の弟くんがいたので、撮影の最後に彼に抱っこしてもらう。
まずは安全な平らな場所に座らせて、彼の膝に弟くんを慎重に乗せて腕で頭を支えてもらう。
赤ちゃんは寝心地が悪かったようで不満げな表情だったが、兄弟の写真はやっぱり撮っておきたい。