近畿日本鉄道橿原線尼ヶ辻駅 17:15
薄暗い拝殿の奥には丸い鏡が祀られている。
神社で宮司さんが着る着物は斎服というそうだが、それがなければ近所のおっちゃんといった風情の宮司さんは野太い声で、七五三のお参りに来た五歳の男の子に声をかけ、鏡の前の座布団に一人で座るように言う。
声も大きければ体も大きめな宮司さんは圧が強い。
さっきまでふざけてばかりいた五歳の男の子は神妙な顔をして、奥に進んで座る。
「この木の枝の根元を神様のほうに向けて、ここに置いて、そう……はい、じゃお辞儀をします、一回、はいもう一回……」
男の子は宮司さんの言う通り、素直に二礼二拍手一礼をして七五三のお参りを済ませた。
玉串奉奠は神社によってあったりなかったり。家族全員でやるところもあれば、父母どちらかと子の二人で上げるところもある。
七歳と五歳の七五三はは大人の仲間入りという意味もあるし、子どもが自分自身で玉串を上げるのもいいものだ。
お参りが済めば、彼はまたふだんのやんちゃぶりに戻る。
家族で遊んで子たちだけで遊んで。八歳のお姉ちゃんの七五三は昨年撮ったし、家族を撮るのは今回が最後かもしれない。
いつか二人の子どもたちが大人になって、結婚するときにでもまた呼んでくれたら、僕はとても嬉しい。
大阪市高速電気軌道御堂筋線梅田駅 13:14 なんばまで行って近鉄電車に乗り換える。