京阪電気鉄道石山坂本線近江神宮前駅 12:18
撮影前に機材を準備していると、近隣と思われる保育園児が散歩に来て、側を通り過ぎてゆく。
なにしてるんだろこのひと、という視線を浴びるが、君たちのような小さな子どもの写真を撮ってるんだ。
引率の先生が「あ、椎の実が落ちてる」と呟いて通りすぎる。
ドングリとは言わないんだな。チューリップハットを逆さにしたようなガクが一緒に落ちている。
お宮参りの夫婦は少し遅れてやってきた。
すでに祝い着を抱っこしている掛けている。
腕が疲れるから外していてもいいですよと言うと、ママは「そうなんだ」とあっけらかんとしてすぐに背中の紐を解く。
赤ちゃんは三ヶ月を過ぎて、体重は6キロになっている。赤ちゃんを抱くのは10分が限界だろう。
祝い着には関西のお宮参りではよく見る「紐銭」がない。
二人は関西出身ではないなと思って聞けば、栃木と富山の人であった。
縁もゆかりもない土地での夫婦二人だけのお宮参りは気持ちがこもる。
境内に縁台があったからよかった。赤ちゃんを寝かせて写真を撮る。
眠そうにしていたが、あやせばふわっと笑う。三ヶ月の赤ちゃんなら七割くらいの確率で笑ってくれる。
盛んに手足を動かす我が子を見て感極まったのであろう。夫婦が少し泣いているのがわかったが、知らぬふりをして撮り続けた。
たまにこういうことがある。
苦労して産んだから、神様からのご褒美でしょう。
滋賀県大津市錦織 12:10 本日の撮影終わり。お宮参りの赤ちゃんはほとんどぐずることもなく、おおむねご機嫌で助かった。暑くもなく寒くもなく、今がいちばんいい気候である。