広島県廿日市市宮島町 14:59



 

 
 
  
お宮参りの撮影。
始めに着物の着付けのお店で赤ちゃんだけの写真を撮らせてもらい、神社で参拝する。
今は東京に暮らす家族だが、パパが広島出身で結婚式は厳島神社で挙げたという。空気はまだいくらか冷たいが、春らしくのどかに晴れた日曜日である。
   
境内で、名物の朱色の鳥居を背景に写真が撮れる「お立ち台」は一か所だけで、いつも観光客が写真の順番待ちをしている。3年前に結婚式ではパパとママもそこでご家族と写真を撮ったらしい。 
   
祈祷を待つ間にパパとママがそのときの思い出を話す。新郎新婦だからか、列を作っていた観光客を待たせて先に撮ったという。すると「写真撮ってたらさ、早くどけよ!って(観光客の)おじさんに怒鳴られたよね」とママが言う。「ああ、あったあった」「カメラマンの人もテンパってたもんね。まさか怒鳴られると思ってなかっただろうし」
   
聞いていた僕は、同じ仕事をしている身としてその場の雰囲気がありありと想像できてしまっていたたまれない。見知らぬフォトグラファー氏に同情してしまう。
  
祈祷が終わると、記念写真はやはり三年前と同じ撮影スポットで、ということになる。
 
観光客に混じって順番を待つ間に、僕は記念写真の並び方を説明する。順番が来ると、両家の親御さんを交えた集合写真と、パパママ赤ちゃんの家族写真を、素早くかつ笑顔を引き出しながら撮る。そして後続の観光客に待たせたお詫びを言いながら場所を譲る。要した時間は2分。荷物を持ってその場を離れるときに「今日は怒鳴られなかったね」とママがパパに言う。
   
帰るとき、鳥居が見える集合写真スポットでは修学旅行生が撮影中。「ちょっとーそこの彼女!ピースはナシ!」「横の人とおしゃべりしないでくださーい!」「はーい!撮りまーす!」フォトグラファーさんが絶叫する様子を外国人旅行者が面白がって見ている。僕もきっとそんなふうに撮っていたに違いない。