山陽本線糸崎駅 10:50
移動日が雨というのは幸いである。長崎まで約12時間。
山陽本線をひたすら西に進んで下関までは1分の遅れもなく順調だった。
が、下関を前にして車掌がアナウンスする。「九州方面へ行かれるお客様にご案内いたします。門司駅で車両故障が発生したとの情報が入っております。現在、門司下関間で運転を見合わせております…」
慌ててJR九州の運転状況やTwitterをチェック。
小倉発下関行きの電車が門司駅を出たところで止まっているらしい。国鉄時代からの古い415系電車だからさもありなん、と納得している場合ではない。こちらは今日中に(鈍行で)長崎までたどり着かねばならぬのである。
新幹線で小倉まで行こうかと思ったが、新下関には1時間に1本の「こだま」しか停まらないのでは待ち時間が長すぎる。
というわけで、電車が下関に着くと脇目も振らずに改札を出てバス乗場へ行く。サンデンバスの荒すぎる運転で唐戸(からと)まで行き、1時間に3便運航されている関門連絡船に乗る。下関唐戸港から門司港まではわずか5分である。
風が出てきてうねり始めた関門海峡を、小さな旅客船は難なく横切って九州に上陸。桟橋から門司港駅まではわずか100メートルである。昭和の初めまでは、誰もが船で九州入りしていたのだ。
頭端式ホームの古き良き門司港駅から、直方行きの電車で小倉まで。鹿児島本線はダイヤが乱れて大事になっているようだ。駅員さんがマイクで叫ぶ「発車ちょっと待ってください、お客様乗車されます!…車掌さんありがとうございます!」
AIの発達は著しいが、僕たちの世界がヒトではない頭脳に頼るのはまだ早すぎる。