長崎自動車満永線榎の鼻 19:22

  
 
 
  
「とある日」の撮影。
朝7時半に伺うと、パパと小学一年生のお兄ちゃんは家を出たあと。幼稚園に通うお姉ちゃんを見送って、二歳の女の子が残る。
 
「とある日」では、僕は一歩引いて親と子どもが遊ぶ様子を撮るのであるが、女の子は僕と遊びたがる。やむなく午前中はひたすら彼女の相手をして過ごす。これが仕事であればいくらか救われるだろうが、この撮影はそうでないので正直しんどい。「三人目はほったらかし」と言うママだが、ふだんは家事をしながら子どもの面倒を見ているわけで、その苦労の一端を知ることになる。
  
世の中の母親が辛く感じるのは、この日常に休みがないことである。週休二日の会社勤めならば、休日を夫婦で分け合うべきだ…ということを、この撮影を始めて考えるようになったのは、ひとつの収穫であった。
   
園バスに乗るお姉ちゃんを見送って帰る道すがら、ママから「なんでこういう撮影をするんですか?」と目的を聞かれる。その質問は初めてではない。
  
写真集を出すつもりもなく、写真展をする予定もない。にもかかわらず、無償で一日かけて撮影するのは、日常の生活風景はわざわざフォトグラファーを呼んでまで撮る価値のないものだと思われがちだからである。(そうでない方がいたらごめんなさい)
    
そう思うのは自由だし否定するつもりもないが、僕が撮ることでフォトグラファーが撮るなんでもないありふれた光景の写真に、いくらかの価値を見出す人が増えてくれたら嬉しい。
 
そういうわけで「とある日」の写真は僕の「作品」なのです。
 
 
この日の「とある日」写真
https://www.miharayuu.com/toaruhi20180309