広島電鉄宇品線広大付属学校前 12:56

  
 
 
 
 
神社の前で娘と一緒に僕を待っていたママは開口一番「(着物を)着てくれませんでした」と言う。
美容室でかなり嫌がったようで、三歳の女の子は普段着のままだ。
 
僕が促しても頑なに拒否するので、諦めてそのまま撮ることにする。
ひとり一人の子どもたち。それぞれの七五三がある。
 
一緒にお宮参りの妹ちゃんがご機嫌だったので多少救われたが、ただ祈祷しただけで七五三を終えてしまうのも心残りである。
 
近くのママの実家に寄らせていただいて、そこでも写真を撮ることにする。
お祖父様が建てた家であるらしく、小さいが古く落ち着いた家であった。
  
女の子が着るはずだった着物を箱から取り出す。ママが三歳のときに着た着物である。娘に着せたかったであろうが、女の子は逃げ回って袖を通すこともしてくれない。
  
家族には家族の物語がある。いつの日か昔話として今日を語るときがあるだろう。
そのときのための写真を撮る。
 
 
撮影終えて、母上からお手製のうどんをご馳走になる。ちゃんと出汁を取っておられておいしかった。