東武バスイースト柏31刈込坂 13:20
柏駅東口からバスで10分ほど揺られると、手賀沼に注ぐ川沿いにのどかな田園風景が広がる。城跡がいつくもあったり、弥生時代の住居跡があったりするから、大昔は稲作に適した豊かな土地だったのだろうと思う。
川の西側の小高い丘の上にある廣幡八幡宮は地味な神社ながらも、平安時代に創建されたというから、関東では歴史のある神社ということになる。
境内には杉の大木が文字通り林立しており、なかなか見ごたえがある。
その木々の間を参道がまっすぐに伸びていて趣がある。
都心に近かったら前撮りのロケーションに使われそうだけど、平日の午前中、神社にいたのは七五三の参拝に来たひと組の家族だけだった。
神社に着くと、三歳の女の子は着崩れた着物を直しているところ。
氏子さんなのか神主さんの奥さんか、社務所にいた女性が着付けの心得があるようで、ママの代わりに裾を上げて紐を結ぶ。
じっと立って、されるがままの女の子は機嫌が良くなさそうだったので撮影よりも先に祈祷してもらった。
彼女の写真は、彼女がママのお腹の中にいたときから撮っている。
子どもが生まれて大きくなってゆくのは、実に不思議なものである。
子育てはおそらく辛いこと、たいへんなことのほうが多いだろう。しかし予想もつかない成長の様子を間近で見ていられるのは、親になった役得のようなものではなかろうか、と子どものいない僕は思う。
僕が撮る写真は、その楽しみのほんのわずかな欠片のようなものである。