奥羽本線福島駅 18:36




 
 
  
米沢を経由して山形へ。
板谷峠を越える電車には暖房が入っていた。東北は秋が駆け足で過ぎ去って、冬がやってくるのだろう。
  
この前に福島〜米沢間を普通列車で通ったのはいつだったろう。
雪深い冬のことだった。雪の板谷峠で初代400系新幹線の写真を撮った。峠駅で力餅を買った。
 
ほとんど乗客のいない静かな電車に揺られている僕は、その二十数年前と何も変わっていないような気がする。
進歩がないのではない。鈍行列車をやめて新幹線に乗ることは進歩ではない。
 
つまりは僕はこの古びた電車のように、ひと駅ずつ止まりながら少しずつ進むのがずっと好きだということである。
遅くても、乗っていればいつかは着くという安心感。