神奈川県箱根町湯本 16:26




  
 
 
 
夏が早くも本気を出してきた。
駅で電車を待つ人たちは、みな釜茹でされたような顔をしている。一秒でも早く冷房の効いた車内に入りたいという顔をしている。
 
箱根に向かう道は車の列が途切れることなく、新宿から小田急で来た人たちで駅の中はいっぱいだ。みな家で涼しくじっとしていればよいのにと思う。
 
新郎新婦は箱根神社へ挙式に向かう。
湯本富士屋ホテルの介添えさんは、手提げに保冷剤を入れるのを忘れない。ホテルの介添えさんはベテランが多いが、彼女は細かいことに気遣いができる方であった。
   
箱根神社での撮影は2回目。
今日の挙式になんとなく特別な印象を持ったのは神主さんの祝詞奏上に聞き惚れてしまったからだろうか。聞いていて心地のよい祝詞はあまりない。
 
挙式のあとの集合写真も済んでホテルに戻るとき、新郎さんと介添えさんが歩きながら話しているのを聞く。
 
挙式はどうだったかという問いに、彼は「神様に誓えてよかったと思います」と律儀に答える。
そばにいた僕は心の中で膝を打つ。結婚式の目的ってそれなんだ。神前式でもキリスト教式でも同じこと。
どうか末長くお幸せに。結婚おめでとう。