東海道本線京都駅 18:30

  
 
 
 
 
夕焼けを窓に映しながら新快速は近江平野を走る。
米原で乗り換え。さらに名古屋で中央本線に乗り換えて、今日は瑞浪に泊まる。
どこかで花火大会があったようで、夜の瑞浪駅前には浴衣姿の女の子たちが家族の迎えの車が来るのを待つ夏の夜。
 
 
京都駅のコインロッカーに入れていた荷物を取り出す。
ICカード対応のロッカーなので鍵はない。ICカードを読み取り器にかざして施錠と解錠をする。

旧来のロッカーと同じく百円玉でもよいのだが、決定的に違うのは鍵がないことである。ICカードがなければ、解錠するときは施錠時に発行されたレシートにあるQRコードを読み取り器にかざす。
 
離れたところで、おじいさんがタッチパネルの前でそのレシートをしきりにICカードの読み取り器に押し当てていた。それではロッカーは開かない。
 
この方式のロッカーはタッチパネルの操作が必要なのだが、慣れない高齢者にとってはハードルが高いようだ。声をかけて、代わりに開けてあげた。
 
ロッカーだけでなく、かつてはボタン式だった切符の券売機も今ではすべてタッチパネル式に切り替わった。
わけがわからず機械の前で固まるおじいさんおばあさんの代わりに切符を買ったことは何度もある。
 
機械の進歩は便利さを追求しているはずなのに、ある人にとってはかえって不便になってしまうパラドックス。これは将来も解消されることはないのだろうか。
 
僕もそのうちおじいさんになって、使いこなせない機械に呆然とする日が来るに違いない。