吉備線吉備津駅 15:17
三歳の女の子は体格よくて五歳くらいに見える。
「そうなんですよ誰に似たんですかね」と言うパパの体が大きい。
岡山の吉備津神社の境内には大きなイチョウの木があって、その根元の周りが黄色い絨毯になっている。
写真を撮っていると雪のように色づいた葉が舞い落ちるから、今が見頃のようである。
彼女は物静かで騒いだりしない、といってもふだんは違うのかもしれないけれど、着物を着ておとなしい。草履もちゃんと履いてくれる。なんだか分別ついた大人みたいだ。
境内の隅っこに自生したような若木があって、それが彼女の身長に合っているからそこで撮ろう。
神社の建物よりも自然の緑を背景にするのは僕は好みだけれど、そのほうがいい写真になると思っている。
おとなしい彼女も遊んでいるうちに、無邪気に笑うようになる。
子どもがつまらなそうな顔をしていると、いたたまれない。なんとかして楽しませたい。
拝殿の隣にはなだらかな坂になった回廊があり、いわゆる撮影スポットになっている。
草履から靴に履き替えた彼女はそこを駆け降りてしまう。転ぶとたいへんなことになるのだが、その心配もいらないみたいだ。
お腹が空いて飽きてつまらなさそうにしていても、最後は元気にかけっこして三歳の七五三は無事に終わる。