小田急電鉄小田原線生田駅 17:52
毎年一回この駅に来ている。十二歳と十歳の兄弟を撮るためである。
初めて撮ったのは兄が五歳になる年だった。8年前になる。いつまで呼んでもらえるだろう。
お兄ちゃんが中学校から帰ってくる時間に合わせるので、だいぶ日が傾いているが、外には出たくないという。
同級生に見られたくないらしい。
それはそうだ。しかし撮らないわけにもいかないので、とりあえず外に出ようか。
二人とももう親と一緒に遊ぶ歳ではないし、なんとなく手持ち無沙汰になってしまう。
もう無邪気に笑った顔というのは見られないのかもしれないなあ。
丘陵地帯に開けた住宅地は、物心ついたときから兄弟の故郷の風景である。
谷を隔てて隣の丘の家々を夕陽が照らしている。
階段の前の柵に腰掛けた兄弟は手足が長くなって、まだまだこれから成長期。体も変わってゆくし心も変わる。
思春期になってもっと笑わなくなるだろうし、僕とも遊ばなくなる。それよりむしろ学校が忙しくなって時間がなくなる。
子どもたちが成長するのは嬉しいことだけれど、これまでの時間を思うとちょっと寂しい。
川崎市多摩区栗谷 17:27 本日の撮影無事終わり。2件目は12歳と10歳兄弟の家族写真。兄は中学生になって絶賛思春期。学校の友達に見られたくないって気持ちはわかるし面白かったら笑ってもいいんだよと言いたくなる。でも笑わない。