尾道 12:49
猫が部屋の中に伸びる陽射しの中で寝ている。
立冬を過ぎても暖かったのが、ようやく冬が本気を出してきたとみえて、朝が寒い。
築60年超の古い木造長屋のいいところは、季節を身近に感じられることである。夏暑く冬寒い。
2年前に四女ちゃんの三歳の七五三を撮ったら今年は次女ちゃんの七歳の七五三だ。
長女さんは十三歳、長男くんは九歳。ママが宮司さんに「二、三年ごとにお世話になって」などと言っている。兄弟が多いとハレの日も多い。
主役の女の子は草履の鼻緒が痛いと言っていたが、1時間履き通してよくがんばった。
祈祷が終わっておじいさんの宮司さんに「勉強がんばってますか?」と聞かれた長女さんと長男くんは、えへへと笑って答えない。宮司さんは「お願いしますよ、そのために祈っとるんじゃけ」と発破をかける。
そんな短いやりとりをできるところが、この宮司さんのいいところである。
撮影の合間に、というか撮影のときは家族みんなで遊ぶ。みんな仲がいい。
子どもたちだけで並んでもらうと、中学二年生の長女さんの背の高さが際立つ。二人目のママのようである。たぶん家では小さな妹の面倒を見ているのであろう。
四人の子どもたちはもちろんひとり一人性格が違っていて、これからどんなふうに大きくなってゆくんだろうと撮りながら思う。
帰り際に四女ちゃんが言う。「わたしのななさいのときもきてねー」
ありがとうありがとう。子どもにそう言われると、嬉しいというより今日の仕事に安堵する。
陽だまりの猫。