予讃線詫間駅 17:06
祈祷を受ける神社の拝殿の隣は砂浜で、その先に瀬戸内海が広がっている。
その砂浜で七五三の祈祷を終えた三姉妹は夢中で貝拾いをして「ほらみてー!」と僕に見せにくる。
傾いたオレンジ色の陽射しを浴びて、家族は海辺を歩く。
穏やかな時間である。幸せというのは、こういうときなんだろう。
三人の子育てに追われる日々に、ハレの日はある。
神仏に子どもの成長を感謝してお参りするのはいつでもできるが、それが七五三という行事になったのは不思議なものだ。
なんなら子どもをお祝いするよりも、親の苦労が報われる日であってもいいんじゃないか。
僕には子どもがいないけども、そんなことを思ったりする。親だって神様から褒められたら嬉しいじゃないか。
長女ちゃん次女ちゃんの七五三は終わり、末っ子ちゃんの七歳の七五三は4年後だ。
次も依頼いただけるかわからないし、仕事の都合で来年は引越しするかもしれないそうだ。
拾った貝がらはそのうちどこかに紛れてなくなるかもしれない。
思い出もそんなふうにいつか薄れてしまうだろうけど、穏やかな瀬戸内の海辺で過ごした時間はたしかにここにあったのだ。