外房線鎌取駅 14:01
社務所もない小さな神社の前は公園なのか、だだっ広い野原が広がっていて、その端に鮮やかに色づいた銀杏の木が立ち並ぶ。
小高い丘になっているから、草原の向こうに開発された郊外の風景が見渡せる。
訪れる人は少なく、遠くから電車の走る音が聞こえてくる。ドラマのロケ地になりそうなこんな場所があったのか。
閉まっていた拝殿の中の灯りが点いて戸が開き、どこからか宮司さんが来たらしい。
ほどなくして七五三のお参りにその家族がやってきた。
お兄ちゃんのとお姉ちゃんの七五三を撮ったのは3年前になるのか。
そのときはなかなかてんやわんやな七五三だったなあと思い出す。あれからお兄ちゃんは笑わなくなり、お姉ちゃんは作り笑顔を覚えた。
子どもは成長するのだ。
野原に転がっている身の丈ほどもある木の枝を抱えるように運んでくる小学生男子にパパが「それを置いてきなさい」と言うけれども、そんなことするのもあと2年くらいか、それとも来年にはもうしないか。
子どもは未来に生きているから、子どもの今は今しか見られない。
肝心の三歳の妹ちゃんはぜんぜん慣れてくれなくて笑わない。心残りだが、それはそれで仕方がない。
「ねえ鬼ごっこしようよ」男の子が僕に膝をくっつけるようにして言う。
今日は妹たちの七五三だから、お兄ちゃんはあまり相手にされなくて手持ち無沙汰なのだ。
よしやろう、十を数えてから逃げる彼を追って全力疾走。
小2の子どもに負けてたまる、かっ……はあはあ息が切れたもう無理です追いつけない。
千葉市緑区おゆみ野中央 12:57 本日の撮影終わり。六歳と三歳姉妹の七五三。妹ちゃんがぜんぜん慣れずに笑ってくれず。八歳のお兄ちゃんもいて、三人の子どもを相手にすると、その子に割ける時間がどうしても少なくなる。