東武鉄道野田線東岩槻駅 16:00
七五三の撮影。
五歳の男の子と追いかけっこして遊ぶ。彼は二歳のときに撮って以来だから、ずいぶん大人になったなと思うが、まだまだかわいいものである。
弟くんがご機嫌悪く、兄弟二人の写真が撮れなかったのが残念であった。
彼は彼の目に映るものについて、ずっとしゃべり続ける。彼の頭の中はぐるぐると動き続けているようだ。彼には彼の世界が出来ているのだろう。ママはそんな彼をニコニコ笑いながら眺めているだけだ。つかず離れずいい距離感である。
そういえば、彼女からは撮影中に「○○しなさい」と言うセリフをついぞ聞かなかったような気がする。
僕が子どもに言うことを、そのまま繰り返して指示する親は多い。
例えば、僕が子どもに扇子を持ってみようかと言うと、すかさず親が横から「扇子を持って」と言う。すると僕のほうに向いた子どもの注意力は、一瞬で親のほうに行ってしまう。親のひと言でフォトグラファーと子どものコミュニケーションがあっさり断ち切られる。子どもが僕の言うことを聞かなくてもまったく問題ないのである。だって遊んでるだけだから。日々小さな子どもと格闘している親の「○○しなさい」と言いたくなる気持ちもわかるのであるが…。