鹿児島本線八代駅 16:58

  
 
 
 

八代駅を出た列車は夕陽を浴びながら熊本平野を走る。
遠く東京では、カープ対ジャイアンツの試合が行われていて、仕事しながらラジオを聴く。
3点リードで迎えた9回裏、抑えのエース中崎があっさり打たれて無死満塁、さらに坂本にタイムリーを浴びて1点差まで詰め寄られるも、辛くも逃げ切って2連勝。しんどい試合であった。 
 
八代駅前では昭和の残滓を見た。
自転車預かり所、映画館、数多のしもた屋に、瓦屋根の旧駅舎。
あと数年で、それらはきれいさっぱり片付けられて、あとにできるのは新興住宅地のような無味乾燥した街並みであろう。

とくに映画館は解体を知らせる貼紙があって切ない。タイル貼りの円柱がおしゃれなのに。
尾道も年々古い家が減っているが、地方はとくに昭和から残っている古い建築物などが、そのまま町おこしのコンテンツになりうるのにもったいないことだと思う。

古いものを壊して新しいものに作り変えれば、お金が動いて儲かる 人もいるんだろう。しかし、それもまたいつかは劣化してゆく。いま残っているものに価値を付加してゆくほうが堅実だと思うんだが。
 
そういうことを考えていると、古ぼけたホームに「SL人吉号」が入って来る。
これを見たいがために、山陽線の新山口に着くのは今夜11時。