神奈川中央交通平53系統戸田 12:04
川の土手には緑を揺らす風が吹き渡っている。あと2週間ほどで春が終わって夏が来る。
家の周りではツバメが巣作りのために軒先を探して飛び交っている。
二十歳のお姉さんは明日からカナダに旅立つ。高校生の弟くんは明日から沖縄へ修学旅行。
ずっと一緒に暮らしてきた子どもたちが少しずつ大きくなって、やがて親元を離れてゆく。
ママとはツイッターでフォローしあってもう何年になるだろう。その間、二人の子どもの成長をSNS越しに一喜一憂しながら眺めていた。
その子らを撮りながら、もう子どもじゃなくて大人なのだなと感じる。当たり前のことが嬉しい。
家族の写真はいつでも撮れそうな気がするけど、実際はなかなか撮らないものだ。どんな形であれ、思い立ったときに撮っておくのがよい。今日がいい天気でよかった、と弟くんが僕に言う。本当にそうだ。家族全員が揃っていてよかった。
駅へ戻るバスは行きのときと同じ運転士さんだった。大ベテランの風貌をしている。バス停を発車するたびに「右よし左よし」と指差し確認する。神奈中は今日も安全運転である。