中央本線小淵沢駅 17:32
暖かく気持ちのよい午後。上着を脱いで子どもと遊ぶ。
女の子は五歳。一緒に走り回って遊んでくれるのも、あと2、3年くらいだろう。今のうちに遊んでおかないと損である。
ママは僕が遊びながら撮影するとは思ってもいなかったようだ。子どもとひとしきり遊んでこれでよいのかと確認すると「どうぞどうぞ、そのままやってください」と一歩も二歩も引いている。
僕が子どもと遊んでしまうと親は単なる傍観者になってしまうことが多々あって、なんとか解決できないかと思う。とはいえ、 親がうまく遊べないと子どもはつまらなくてぜんぜん笑わなかったりする。写真を撮る以上、子どもの笑顔のカットは欲しいものであるし、なかなか難しい。
撮影終えて駅に戻るのに、ホテルのシャトルバスは出たばかり。次の便は40分後なので待つより30分歩くほうを選ぶ。
車が行き交う道を外れて木立の中に入ってゆく未舗装の道を抜ければ小さな集落に出た。
粗末な木造の家がところどころに残っているが、昔の分譲住宅地だったのだろうか。宅地ぽく平らにされた空き地が目立つ。
きっと冬の間は寂しい景色だったろう。今は雑草に混じって幾種類もの水仙が咲き乱れている。誰もいない空間に鳥のさえずり声が満ちている。