東京都交通局大江戸線牛込柳町駅 11:52




 
 
 
 
出張撮影を初めて頼むと、やはりどうしてよいのかわからないし、緊張するものである。
 
たいがいの家では、僕が行くとパパとママは子どもを抱いたまま棒立ちになっている。僕はくだけた感じで「テキトーに遊んでてください」といつも言うのだが、「遊ばなければ」と気負った親はやたらと子どもに絡みだし、子どもは異変を感じて怖がり、しまいに泣き出す、というパターンはよくあること。
 
一歳になったばかりの男の子は物怖じすることなくカメラに近づき、レンズに触る。
  
好奇心旺盛なのはよいことだ。僕は子どもがレンズに触ってもよいことにしている。指紋がついたら拭けばいいだけだし。
 
8年前、姉の家族写真撮影にくっついてきたお嬢さんが結婚してママになり、初めての家族写真を撮る。そしてまた新しい家族の歴史が作られてゆく。そういう場所にいられて幸せだ。
 
予定していなかったけど、急いで「選び取り」をしてみた。ピアノを弾くパパは楽譜を開いて置く。すると男の子は真っ先にそこへ行き、彼は相好を崩した。
 
 
撮影終えて駅に向かって歩いていると、向かいから母親と4歳くらいの男の子がやってきた。男の子は「あるきたくないー」と駄々をこねている。母親は苛立ったように「じゃあそこにいれば」と歩き去る。その後ろを泣きながら男の子が追う。
 
この光景を撮りたいと言ったら怒られるだろうか。
でも子育ては日々こんなことの繰り返しですよね。それをいつでも見られるように残しておくのも悪くないと思う。