山陽本線松永駅 17:11











 
 
  
お姉ちゃんに続いて弟くんの七五三の撮影依頼をいただいた。ありがとうございます。
 
午後三時を過ぎて小さな神社にお参りする家族はひと組だけで、拝殿の隅に座って神主さんが唱える祝詞を聞いていた。
 
七五三の祝詞は子どもが飽きてしまうため手短かに上げてしまう神社が多いのだが、高諸神社の神主さんはひたすら太鼓を叩きながら10分間にわたって祝詞を奉じる。
  
仕事柄、いろんな神社で祝詞を聞く。お寺のお経もだけど、祝詞を聞くのが好きである。
  
それぞれに特徴があって、この神主さんはいい声だなとか、事務的に読んでるなとか、聴きながら思う。最後の「かしこみかしこみもまをすぅぅぅ…」と細く長く伸ばす発声もいい。
 
もっとも男の子は3分くらいで飽きていて、「ねむいからねていい?」とママに小声で聞いたりしていて、どうなるかと思ったが、祝詞が終わって神主さんが鈴を振るところで目が覚めたらしい。
 
 
 
松永は尾道から電車で2駅。車で行けばよいのに電車で来て駅から神社まで20分歩く。
 
国道2号線を通らずに線路沿いの狭い道を歩いていたら、昭和30年代から時が止まったような一角を見つけた。撮影終わって帰るときにゆっくりじっくり見て歩く。
 
自転車屋の看板が残る二階建ての建物は、二階部分が斜めにせり出して、縦長に細く切り取られた窓のデザインが未来的である。当初はかなりオシャレな建物であったろうと思う。ただし窓枠は木である。
 
時計店の家の壁には丸いブリキに大きな時計が描かれて、錆び付いている。このまま重要文化財に指定したいくらいだ。
    
やがて消え去るであろう古い街角の風景を愛する人が増えてくれるとよいなあと思うのだが、残念ながら趣味嗜好は極めて地味であって愛好家の裾野が広がる気配はない。