小田急電鉄小田原線代々木八幡駅 12:01









  
  
秋晴れの空である。
お宮参りにやってきた三ヶ月の赤ちゃんは終始ご機嫌で愛想を振りまく。
  
二歳のお兄ちゃんは砂利を拾っては投げるのに夢中。自分の興味が向くことしかしない。パパとママの言うことは3%しか聞いていない。集合写真は彼の注意を引くことに注力する。
     
ふだん二人の子の面倒をみるママは、赤ちゃんが新生児だった頃の記憶がないと言う。育児に「忙殺」されているのだなあと思う。このまま気がついたら赤ちゃんを卒業していそうだ。赤ちゃんのいる日常を「とある日」で撮ってあげたい。
 
どんなにたいへんな毎日でも、それはその人の人生の一部である。パズルのピースを埋めるように日々を写真で残しておくと、あとで過去を振り返ったときに満足度が上がるのではなかろうか。
 
 
代々木八幡駅の前にはチェーン店の「富士そば」があり、その向かいに隠れるようにして「八幡そば」という立ち食い蕎麦屋がある。
 
大きなカメラバッグを提げて入るのがためらわれるような狭い店に入り、天ぷらを揚げる油が染み付いたような短いカウンターに向かう。
 
北海道幌加内産のそば粉を使っているという麺はたしかな食感がある。大振りのかき揚げもおいしかったが、さいきんはこれでだけもお腹が重たく感じられる。お昼ごはんはかけそばで十分な気がしてきた。
   
代々木八幡駅は駅舎新築工事がだいぶ進んだ。僕にとっては、下りホーム改札口前の降りにくい湾曲した階段も今日が見納めかもしれない。