広島市中区上幟町 15:55

  
 
 
  
傾きかけた陽射しが色付いたケヤキの葉を照らしている。
 
乾いた落ち葉が神社の前の芝生を埋めていて、六歳と三歳の姉妹はそれを拾い上げては 宙に撒く。のんびりとしたいい光景である。
 
あと一週間ほどで、葉は落ちきってしまいそうだ。秋の終わりが近い。
 

 
護国神社の鳥居の前にはたこ焼きとお面を売る屋台の出店があって、店番のおばさんがタクシーの運転手と世間話をしている。
 
そこに五歳の男の子を連れたスーツ姿の若い母親が来て「どれにする?」などとお面の物色を始めた。男の子は仮面ライダーなんとかのお面を選ぶ。
 
店のおばさんはそれを棚から外して「はい千円です」と言うと、財布を取り出した母親は驚いて千円!?と繰り返した。
 
おばさんも自身も高いと思うのだろう。「大事に使うてもらわないけんね」と言うと、母親は納得したかのように「ほんまよー」と言いながらお面を子どもに渡す。
 
撮影の家族を待つ間、側で仕事しながら聞いていた僕も金額を聞いてにPCから顔を上げる。見たところ、お面はどこの縁日でも見かけるものある。五百円くらいかと思っていた。
  
お面のお店には値札がまったくない。
  
原価がいくらか知らないが、成型して着色されたされた薄いプラスチック(そう見える)にそれなりの値段がするのは、キャラクター使用のライセンス料が入っているのだろう。
 
そう思って、棚の隅っこに掛けられていた「ひょっとこ」や「おかめ」といった昔ながらのお面は安いのかとおばさんに聞いてみると、「いや同じですよ。千円」と素っ気ない答えが返ってきた。
 
ちなみにググってみると、お面の仕入れ値は300円前後らしい。粗利率高いな。