埼玉県川越市西小仙波町 14:08





 



 
避けようのない雨が降りしきる。
 
石畳に雨が跳ねて足先を濡らすが、川越氷川神社の境内には七五三の参拝者が傘をさして訪れていて、その多さに驚く。
 
祈祷を済ませて出てきた女の子はパパに抱かれていた。彼女にしてみれば、よくわからぬうちに雨の中を神社に連れて来られてきたわけで、不安げな顔をしている。
 
とりあえず彼女に、ママが持っていた傘を渡してさしてみるように促してみた。
 
大人は濡れることを気にするが、子どもは傘に当たる雨音さえ楽しめる。傘は格好のおもちゃである。彼女が楽しんでくれたらもうこっちのものである。
 
七五三で小さな子どもが笑わないのは、それがつまらないからのひと言に尽きる。「カメラ見てーニコニコしてー」ではまず笑顔にならない。
 
  
撮影終えて駅までバスに乗ろうと思っていたが、ぶらぶら歩き出すとそのまま駅まで歩けてしまう。
 
外国人観光客にも人気のある通りを避けて、すれ違う人もいない住宅地を歩く。
 
まるひろ百貨店が見えるあたり、道路に面したビルの窓がパンのショーケースになっていた。街角にあるタバコ屋のようである。およそパン屋らしくないが、パン屋の看板が出ている。
 
店主が病院に行くため休むときがあります、というような張り紙がある。
 
大丈夫なのかしらんと思ってショーケースの中を眺めていると、奥でパンを作っている店主が僕を認めた。
 
菓子パンと惣菜パンを1個ずつ買って百円玉を3枚出すとお釣りが返ってくる。
 
僕はおしゃれなベーカリーよりも、町の隅っこで細々とやっているような、こういう店が好きなのだ。職業は違えど、同類のような 気がしてならない。駅のベンチに座って食べてみると、パン生地はしっとりしっかりしていておいしかった。