京王電鉄橋本線京王稲田堤駅 18:30

  
 
 
  
「いつもはよく笑うんだけど、今日は笑わないわねえ」とか、「いつもはおとなしいのに、今日はやたらとハイテンションだな」というのは、小さな子どもの写真を撮るときにはよくあること。
 
生後二ヶ月の赤ちゃんも例外ではないらしい。まだ人見知りするような月齢ではないのだけど、僕が来たことで家の中がいつもの雰囲気でないのを敏感に察知したのか、「いつもと違うね」ということになった。
    
「とある日」は家族の日常風景を写真にする撮影プラン。僕は赤ちゃんを笑わせることもしないし、単なる傍観者として子どもをあやすパパとママを撮る。それだけのことがとても幸せである。
 
それにしてもママは赤ちゃんのあやし方が独特だ。仕事柄、母親ごとに違うあやし方をいろいろ見てきたけれど、ユニークな部類に入る。ママのキャラクターが赤ちゃんにどう影響するのか、ちょっと楽しみである。

 
日が暮れて撮影が終わる頃、パパから「成果はありましたか」と聞かれる。
 
おそらく成果というのは写真のことであろう。「いい写真」を撮ろうという気はさらさらなかったので、僕は少し面食らった。
 
もし、この撮影に成果を求めるとするなら、今から20年後である。
 
娘が成人したとき、彼が今日の写真を見返して「こんなときもあったなあ…」としみじみ感じ入ってもらえたら、僕は十分すぎるくらいに満足するだろう。